ここ最近、何回か行くことのあるオフィスビルでの出来事です。
その部屋は3階にあり、大きな窓からは大阪の大通りと商業ビル、官公庁が見えます。
何気なく窓の外を見ているうちに、こげ茶色の細長い物体が、窓から3メートル離れた場所で視界を遮っていることに気がつきました。
「今までこんなモノ、あったっけ? 電柱でもないし、信号機でもないし・・・」
それは街路灯でした。
3階の窓から見ているので、街路灯のてっぺん、電球が収まっている機械の部分が目の高さにあったのでした。
その存在に一度気がつくと、それは結構大きなものです。
見落としていただけで、今までも視界に入っていたはずです。
でも、気がついたのはその時が初めてでした。
人間の眼球は、左右ともに全く見えない部分(死角)があるそうです。
右目であれば中央から少し右下、左目であればやはり中央から少し左下の部分が死角になるのだそうです。
死角と言っても視野がぽっかり空いているわけではないので、まず気がつきません。
もちろん両目で見れば相互の目で視野がカバーされるので、死角はなくなります。
街路灯に気がつかなかったことと眼球の死角とは関係ありませんが、ヒトの意識ってけっこういい加減なものなんだなって思いました。
意外と近くにあるのに気がつかない、人間関係にもそれは言えるかもしれませんね。
家族も含めて周囲の人は黙って頑張っていてくれることに、自分が気がついていないってことが結構あるんじゃないのかな、とつい街路灯に思いを馳せながら反省してしまいました。
街路灯は自動車の振動や風を受けて、思ったより揺れていました。
雨にも負けず、風にも負けず、丈夫な鉄骨で、いつも静かに道を照らしている。
宮沢賢治の世界ですね。