離婚理由の上位を占め、離婚に至らないまでも夫婦間の隠れた問題事項として、DV(ドメスティック・バイオレンス)があります。
DVは家庭内で行われることが殆どなので、当事者であっても被害に気づいていないケースもあります。
しかし、これは犯罪です。
「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」という法律もあります。
この法律で定められた「暴力」の定義は、殴る・けるといった身体に対する暴力をはじめ、これに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動を含みます。
もし、ご自身や身近な方に下記のケースがあてはまれば、早急に解決のステップに進んでください。
まず、典型的なDVのサイクルをご紹介します。
①暴力の前兆となる、イライラした状態になる。
原因は夫婦間のことに限りません。仕事やストレス、体調不良もきっかけになります。
②些細なことが引き金になり、ついに爆発。★一番危険な状態です★
身体的な暴力以外に、暴言、無視、セックスの強要も入ります。
③反省・改心・紳士的で優しい態度。
②の状態とは180度変わり、暴力を認め、謝罪し、反省する。
④しばらく③の状態が続いた後、また①のイライラしたり、我慢をしているような状態に戻る。
というように、①→②→③→④→①を繰り返します。
DVの夫は、イライラの原因は妻側にあり、妻が自分を怒らせるから暴力をふるってしまうのだ、と主張します。
また暴君タイプの夫の場合は、妻が人間として一人前でないため、教育やしつけをしていると言います。「口で言ってもわからないから、殴ってわからせるのだ」という理屈です。
もっと狡猾なケースでは「殴るのは、それだけ愛しているからだ」と言う輩もいます。
けれど理由はどうあれ、殴られる方が悪いのではなく、殴る方が悪いのです。
少々古い例ですが、「巨人の星」の星一徹のちゃぶ台返し(これも子供に対するDV!)のように、口下手な男性が怒りをうまく表現できなくて暴力に訴えるというケースは少ないように感じます。
これは明らかな暴力の場合は加害・被害がはっきりしているので、初期の段階で対処が可能だからでしょう。
かわって増えているのが、陰湿なDVです。
身体的な暴力はもちろんですが、精神的に追い詰めたり、言葉の暴力も増えているので、被害者は心に大きなダメージを受けることになります。
DVにより、妻は「自分はダメな人間」「離婚したら、一人では生きていけない」「誰からも相手にされない」という暗示にかけられてしまい、判断能力や行動力を奪われます。
暴力は恐ろしいけれど、DV夫と離婚して一人で生きていくのはもっと不安、という精神状態になってしまいます。
子供がいる方は、自分さえ暴力を我慢すれば、子供を路頭に迷わせなくても済むと思うかもしれません。
辛いことですが、家庭内暴力は次の世代に持ち越されます。
親のDVを見て育った子供は、やがて大人になったとき、やはり身近な人に暴力を振るうことが多いのです。
自分の子供をDV加害者にしないためにも、親である自分がDVを放置しないことが大切です。
残念ながらDV加害者はいくらカウンセリングなどを受けても、矯正できないことが多いので「いつか直る」と思わないでください。
DVの被害者が平和を取り戻すために、解決のステップとしては以下のようになります。
①まずDVであるを認識すること。
自分が悪いからと思わないこと、自分さえ我慢すればいいと思わないこと。
②周囲に助けを求めること。
積極的に周囲を巻き込む、暴力を受けていることを恥ずかしいと思わないこと。
③DV加害者(夫)から離れること。
離婚も視野に入れて、ということになります。脅しや泣き落としに誤魔化されないで。
④ゆっくりと自分を癒し、自分らしさを取り戻していくこと。
結婚生活が長年にわたっていればその分、ダメージの回復に時間がかかります。
一人で問題を抱え込まないで下さいね。
いしだたかこが応援しています。